栄養強化嚥下調整食導入事例(衣笠病院)

日本医療伝道会 衣笠病院

著者:木村麻美子 髙田千春

関連ページ:横浜嚥下研究会

嚥下調整食提供数(1日あたり)

60食

栄養強化嚥下調整食導入までの体制作り

当院は給食委託会社による全面委託である。導入にあたり、病院栄養科内で検討し、委託会社の管理栄養士・調理師に相談した。いくつかの栄養付加食品のサンプルを用いて、委託会社に試作してもらい、試食を繰り返した。最終的にMCTオイルやPFCパウダーを使用することとした。

調理師の人数などの変更はおこなっていない。献立内に調味料と同じく、MCTオイルとPFCパウダーの使用量を入れ込んで作成している。

委託会社である株式会社ニチダンとは日ごろからの関係性がよく、お互いにリスペクトしながら、日々の業務をおこなっている。常に相談し合う体制ができており、新しいことに取り組む際も協力的であるため、困難を一緒に乗り切ることができている。

工夫した点

嚥下調整食は、摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類のコード2-2・コード3・コード4の食事に対して強化をおこなった。

主菜に「たんぱく質」も入った付加食品(炭水化物・脂質入り)を使用したところ味に大きな変化はなかったが、副菜の和え物などさっぱりとした料理には味の変化を感じて美味しく食べることができなかった。このため副菜にはMCTオイルのみ入れるなどの工夫をおこなった。入れる量についても、味を損ねないギリギリのところを試作・試食を繰り返す中で決めていった。

また主食の粥(全粥・7分粥・5分粥・3分粥・ミキサー粥)にもMCTオイルを入れ込むことにより、従来の重量の約25%減にすることができた。
さらに味噌汁はとろみ剤で「中間のとろみ」をつけていたが、エネルギー量が少ない割に、お腹にたまるため、嚥下調整食にはつけないこととした。

これらの変更により、より少量高栄養の嚥下調整食を提供できるようになっている。
以前の嚥下調整食は、患者さんより「見るだけでお腹いっぱい」と言われ、残される方も多かったが、食べきりやすい量になり喫食率が上がっている。

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