NTT東日本関東病院
著者:平澤広美、小川美帆、三好郁弥、豊島瑞枝、上島順子
嚥下調整食提供数(1日あたり)
160食
①栄養強化嚥下調整食導入までの体制作り
【検討】
・給食は委託会社による全面委託のため、まず委託会社と栄養強化嚥下調整食の必要性について話し合いを持ち、ゴールの意識合せをしました。
・栄養強化する嚥下調整食は、学会分類2、3、4としました。
・委託側と病院側で栄養価や物性の意識統一、食材費の設定を実施しました。
・栄養強化嚥下調整食導入の効果を前向きにデータ取得するために、研究計画をし、いつから食事を切り替えるのかを計画しました。
【院内勉強会】
・病院側の言語聴覚士と管理栄養士から給食委託会社に対する勉強会を実施しました。
【試作】
・味を損ねない最大限の量まで栄養素を付加すること、物性を安定させること、調理工程を考え試作を繰り返しました。
【導入後】
・導入後も量によっては物性が安定しなくなる、調理工程上大変だった等の意見を集約し、毎月1回献立会議を行い、定期的に献立見直しを実施しています。
②工夫点
【調理上】
・誰が調理しても同じように食事提供が出来ることと、急な食数変更に対応出来るように手作りだけでなく、一部既製品の商材を導入しています。
・従来の食事からのボリュームを変えずに栄養価を高めるための工夫として、手作り品には料理そのものに、既製品にはソースやあんにプロテイン粉末を入れ、栄養価を高めています。
・既製品の商材には油を塗ってから加熱する等、味付けを変えずにエネルギー増量を図っています。
・ゲル化した粥は食用油脂、プロテイン粉末を入れ、少量でも栄養がしっかり確保出来るよう工夫しています。
・食用油脂やプロテイン粉末等の添加量については試作を繰り返し、患者様が美味しく召し上がれること、物性が安定していることを重視しました。
【食器・食具の工夫】
・主食はコントラストがはっきりするように、内側が茶色のものにしています。
・副菜も黄色などの明るい食器を用いるようにしています。
・患者様が自力摂取の際に困らないように、全て自助食器と自助スプーンを使用しています。
【食事の彩】
・付け合わせやタレを添えたりとカラフルになるよう献立を組んでいます。
・副食は茶色一食にならないようミキサーにかける際も食材それぞれを分けています。
嚥下調整食(学会分類コード3)一食のビフォーアフターの写真と栄養価(例)
| 従来 | 栄養強化後 | |
|---|---|---|
| 栄養強化の工夫点 |
|
|
| エネルギー (kcal) | 374 | 523 |
| たんぱく質 (g) | 10.6 | 20.9 |
| 脂質 (g) | 12.2 | 19.8 |
| 炭水化物 (g) | 54.2 | 68.1 |
| 塩分(g) | 1.9 | 2.6 |
| 1食平均食事重量 (g) | 415 | 440 |
