百崎 良(三重大学医学部附属病院リハビリテーション部)
令和8年度診療報酬改定で、特別食加算の対象として嚥下調整食が新たに追加されますので算定要件などをご紹介します。
算定要件 嚥下調整食加算は、摂食機能または嚥下機能が低下した患者に対して、医師の発行する食事箋に基づき嚥下調整食を提供した場合に算定することができます。対象患者については、定期的に多職種によるミールラウンドを実施し、嚥下調整食の必要性や摂取状況を確認することが求められています。ミールラウンドでは、嚥下機能や摂取量、食事内容の適切性などを評価し、提供している嚥下調整食の内容や量が患者の状態に適しているかを判断します。また、患者の状態が改善し常食が適していると判断された場合には、速やかに食事内容を変更することが求められます。嚥下調整食は固定的に提供するものではなく、患者の機能に応じて適切に見直していくことが重要です。

嚥下調整食の要件
加算の対象となる嚥下調整食は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2021を参考に、安全で嚥下しやすいよう適切に調整された食形態である必要があります。具体的には、硬さ、付着性、凝集性などの物性が嚥下機能に配慮して調整されており、安全性と食欲を促す食感の両立が求められます。また、食事としての質にも十分配慮する必要があります。献立として、常食と同等の盛り付け、味や香り、適切な温度、十分な栄養量が確保されていることが求められます。提供前には目視などにより、離水や食形態の変化がないか確認し、見た目についても常食に近づくよう配慮することが必要です。
なお、以下のようなものは嚥下調整食には該当しません。
・単にピューレやペースト状にしただけのもの
・常食を刻んだだけの刻み食
・刻み食にとろみを付けただけのもの
・主食のみを嚥下調整食とした場合

施設要件
嚥下調整食に係る特別食加算を算定する医療機関は、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
まず、医療機関で提供する嚥下調整食の食形態について、日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021に沿った嚥下調整食の一覧を作成しておく必要があります。この一覧には、コードと名称だけでなく、代表的な献立の写真や説明、目安となる栄養量(エネルギーやたんぱく質など)を示すことが求められます。
次に、医師、管理栄養士または栄養士による検食を毎日少なくとも1食行い、食形態、見た目、味などが適切かどうかを確認します。その結果は検食簿に記録する必要があります。
さらに、嚥下調整食の質を維持するため、管理栄養士、言語聴覚士、調理師などが参加する試食会やカンファレンスを定期的に実施することが求められます。これらの場では、物性だけでなく、盛り付け、味、香り、温度、栄養量なども含めて総合的に評価します。
また、嚥下調整食に関する責任者を配置する必要があります。責任者は、嚥下調整食のテクスチャーや調理方法などに関する実習を伴う研修を修了した管理栄養士であることが求められます。研修は医療関係団体や調理関係団体などが主催し、修了証が交付されるものが想定されています。嚥下調整食に関わる調理師などについても、同様の研修を修了していることが望ましいとされています。

まとめ
今回の診療報酬改定では、嚥下障害患者に対する食事が、単なる食形態の調整ではなく、安全性、栄養、食事としての質を含めた医療の一部として評価された点に大きな意義があります。嚥下調整食の質を高めることは、誤嚥性肺炎の予防や栄養状態の改善、さらには経口摂取の維持につながることが期待されます。今後は、多職種が連携しながら、患者の状態に応じた適切な嚥下調整食を提供していくことが重要になります。


