嚥下調整食の普及

栢下 淳 (県立広島大学)

高齢化がすすむわが国では、咀嚼や嚥下機能の低下した人が増加している。
嚥下機能の低下の程度は個々人により異なる。そのため、嚥下機能の低下した人を対象とした市販食品も販売されているが、様々な形態のものが存在する。

また、病院や施設においても同様に様々な形態の食事が提供されていた。
このような状況を踏まえ、臨床での共通理解を進めるために、日本摂食嚥下リハビリテーション学会(会員数15,000名)では、嚥下調整食分類(以下、学会分類)を作成し2013年に公表した。学会分類では、他の嚥下調整食分類であるUDFや嚥下食ピラミッドとの互換を行えるように互換表を作成し、利便性を図った。

学会分類イメージ図

2016年には、外来・入院。在宅患者訪問栄養食事指導の対象に、摂食機能もしくは嚥下機能の低下した患者が追加された。

ここでの摂食機能もしくは嚥下機能の低下した患者とは、「医師が硬さ、付着性、凝集性などに配慮した嚥下調整食(日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分離に基づく)に相当する食事を要すると判断した患者であること。」とされ、学会分類が多くの病院に広がり、臨床での共通理解が広まっていった。

参考文献

栢下淳他. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021. 日摂食嚥下リハ会誌. 2021;25(2):135–149.

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