栢下 淳 (県立広島大学)
嚥下調整食を摂取している人は、普通食を摂取している人に比べ、摂取エネルギー273cal、たんぱく質12.4g少ないことが報告されている。
摂取エネルギーやたんぱく質が少ない原因はいくつか考えられる。
嚥下調整食は軟らかく仕上げるため加水量が多いため、何らかの工夫をしないとエネルギー摂取のために多くの摂取量が必要となる。このような問題点を解決するには、嚥下調整食に油脂やたんぱく質を添加し、少量での栄養価確保が必要である。
嚥下調整食の形態でペースト食があるが、すべての食材を同時にミキサーにかけてしまうと単一の彩りとなり、何を食べているのかわからず、食欲がわかない。このような場合には、食材ごとにミキサーにかけ、彩りに配慮することや見栄えする器を使用する。
とろみを使用する場合、飲料にとろみを入れると味が薄れることや、ある程度強いとろみのついた飲料は、それ自体が咽頭残留する可能性がある。また、とろみの程度が強くなると水分摂取量が減少する。とろみをつけた飲料で水分管理を行う場合、その人に適したとろみの程度で行うことが重要である。
表:主食100gあたりのエネルギー、たんぱく質量
八訂日本食品成分表
エネルギー量(kcal) | たんぱく質量(g) | |
ごはん | 156 | 2.0 |
軟飯 | 113 | 1.8 |
全粥 | 65 | 0.9 |
参考文献
Wu Xsら J Laparoendosc Adv Surg Tech 2013,23(3),183-191